No more WAR, We want PEACE! 有事法制は国家守って人守らず。私たちは反対します!
反戦・平和アクション
更新:2002年3月4日(月)17:30 (日本時間)

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有事法制についてのノート (文責・伊達純)

 

1.三矢研究

 有事法制ということになると「三矢研究」にまでさかのぼる。正式名称は「昭和三八年度統合図上研究」。全部で1419ページにもなる大がかりなものである。1965年2月に国会で暴露されて問題となった。自衛隊の統合幕僚監部が1963年2月から6月にかけて防衛庁内で行った。朝鮮半島において北朝鮮と中国が韓国を侵略したという想定で、日本への波及に備え、日米共同で北朝鮮・中国・ソ連と戦うという作戦の研究である。核兵器の日本への持ち込みや自衛隊の海外派兵まで検討されていた。

 特に問題となったのは、87もの「戦時諸法案」を制定して「国家総動員体制」へ移行させるという部分である。それを2週間で成立させ、急を要するものは委員会審議を省略していきなり本会議にかけることになっていた。民主主義も何もあったものではない。

 日本防衛については「作戦調整所」、つまり日米統合司令部を設け、在日米軍司令官が指揮するとされた。これは、新「日米防衛協力の指針(=ガイドライン)」の「調整メカニズム」あるいは「包括的メカニズム」に相当するものである。これから国会に上程されようとしている有事法制は新ガイドラインに基づくものであるが、そういった点で、40年近く前の三矢研究との共通性にあらためて驚かされる。つまり日本を戦争のできる国家にすることを目論む勢力は、それだけ長い時間をかけて、用意周到に準備してきたということである。そのことを私たちは忘れてはならない。


2.旧ガイドラインのもとでの有事研究

 旧「日米防衛協力の指針(=ガイドライン)」は1978年11月27日に防衛協力小委員会によってまとめられた。

 (1)侵略を未然に防止するための態勢

 (2)日本に対する武力攻撃への対処

 (3)日本以外の極東における紛争での日米協力

の3つによって成り立っている。

 旧ガイドラインに基づいて日米共同作戦の研究が始まり、1984年12月に研究を終えた。

  (1)日米共同作戦計画5051(北海道有事)

  (2)   〃    5053(中東有事)

  (3)   〃    5027(朝鮮有事)
    →94年韓国国会で存在を確認

  (4)日本に及ばない極東有事研究→未刊

といったシナリオがあった。

 また防衛庁の有事立法研究の概要は

 I)防衛庁所管の法令(第1分類)
    関連する法令)
      自衛隊法、防衛庁設置法、防衛庁職員給与法
    問題点)
     ・徴用・徴発を定めた自衛隊法・政令が未制定
     ・命令に従わない者への罰則がない
      →1981年4月22日報告

 II)防衛庁以外の省庁の所管の法令(第2分類)
    関連する法令)
      道路法、航空法、建築基準法、医療法、墓地・埋葬に
     関する法律、河川法、森林法など
    問題点)
      有事の際に自衛隊の行動に対する適用除外の特別措置
     が必要
      →1984年10月6日報告

 III)どの省庁に属するか不明な法令(第3分類)
    関連する法令)
     ・有事に際しての住民の保護、
     ・避難または誘導の措置を適正に行うための法律、
     ・捕虜の扱いなどのジュネーブ4条約
    問題点)
     法律、政令などの規定が存在しない
      →未公表
        ただし、この1月22日(水)に内閣官房が自民
       党国防関係合同部会に提示した「有事法制の整備に
       ついて」という基本方針で、第3分類の検討状況が
       初めて発表された。それによると次のようなもので
       ある。
        1)有事の際の住民保護・避難・誘導
        2)民間船舶や航空機の航行の安全確保
        3)電波の使用制限
        4)相手国の捕虜・傷病者の待遇

となっている。


3.新ガイドラインと周辺事態法と有事法制の関わり

 周辺事態法は、新ガイドラインの「(1)日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」ではなく、「(2)日本周辺地帯における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)の協力」に対応したものであるという点で部分的である。

 さらに、「周辺事態」に際しての日本の「協力」についても、新ガイドラインが予定していた日米軍事共同作戦などの軍事色濃厚な部分は盛り込まれていない。

 つまり、これから国会に上程されようとしている有事法制こそが、新ガイドラインの中の軍事色のつよい部分であると言うことができる。


4.有事法制は既に制定されている!?

 井上澄夫さんの「自衛隊法「改正」案の性格と問題点」という文章の一部をそのまま引用させていただきます。

>  有事法制は、「これが有事法制ですよ」という形で、ある日ポ
> ンと出てくるのではない。周辺事態法自体、有事法制の一環であ
> り、有事への対応は、99年に周辺事態法とともに成立させられ
> た地方分権一括法や中央省庁改革法にも、すでに含まれている。
> それらに盗聴法など治安弾圧諸法が組み合わされて、この国の
> 「戦争国家」化、「有事即応国家」化が、どんどん進行している
> のだ。

 PKO協力法にも、「国以外の者の協力」を求めるなどの有事立法としての条文規定があることが指摘されている。

 現在、有事法制は、基本法を一括で出して来るか、個別で小出しにして来るか、微妙ではあるけれども、どちらに転んでも立ち向かって行くことのできる準備をしておくことは確認しておきたい。


参考文献
「いのくら」基地問題研究会編『私たちの非協力宣言――周辺事態法と自治体の平和力』(明石書店)
植村秀樹著『自衛隊は誰のものか』(講談社現代新書)
池田五律著『米軍がなぜ日本に』(創史社)
剣持一巳著『PKO派兵』(緑風出版)
『法学セミナー98・2』特集「いまなぜ、新ガイドラインなのか?」
『法学セミナー99・6』特別企画「周辺事態法の問題を突く」
『図とき新ガイドラインの問題点』(非核市民宣言運動・ヨコスカ)
『自衛隊法「改正」案の性格と問題点』(井上澄夫作成)
「しんぶん赤旗」

 周辺事態法では、自治体や「国以外の者」に「協力を求めることができる」としていたのが、有事法制では罰則が盛り込まれ、強制となることを見逃してはならない。まさに有事法制は、言論や表現の自由といった基本的人権を制限しようとしているのである。このことからもわかるように、有事法制は、反戦・反基地・平和運動だけが取り組む問題ではない。様々な運動が、課題を越えて取り組まなければならない問題である。

 言論や表現の自由などの私たちの基本的人権を制限するものである有事法制に反対する声を、取り組んでいる課題を越えて、様々なかたちであげていきましょう!

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