No more WAR, We want PEACE! 有事法制は国家守って人守らず。私たちは反対します!
反戦・平和アクション
更新:2002年10月18日(金)16:00 (日本時間)

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◆10.6 戦争反対、有事法案を廃案に! 市民緊急行動 発足シンポジウム

 この1年間活動してきた「テロにも報復戦争にも反対!市民緊急行動」を発展的に改組したネットワーク、「戦争反対、有事法案を廃案に!市民緊急行動」の発足シンポジウムが全水道会館にて開かれ、超満員200名の参加で成功裏に行われました。
 中東研究者の酒井啓子さん、ヨコスカで市民運動に取り組んでいる新倉裕史さんによる60分ずつの発言が行われ、イラク情勢、そしてこれからの有事法制反対運動の視座について、大変ためになるお話を聞くことができました。
 集会では他に、市民緊急行動事務局から高田健(許すな!憲法改悪・市民連絡会)による基調報告、米沢泉美(反戦・平和アクション編集委)によるこの1年間の取り組みの報告とインターネット上での取り組みの総括が提起され、非戦ネット、反住基ネット連絡会(準)、APA(アジア平和連合)からのあいさつが行われ、最後に事務局の富山洋子(日本消費者連盟)から今後への呼びかけがあり、無事終えることができました。

 この日をもって発足した「戦争反対、有事法案を廃案に! 市民緊急行動」は、これからの有事法制反対の取り組みをみなさんとともに行っていきます。(以上文責:米沢泉美)

→「戦争反対、有事法案を廃案に! 市民緊急行動」発足アピール全文
→反戦・平和アクション 中間総括全文
→酒井啓子さんの発言要旨
→新倉裕史さんの発言要旨

会場は超満員

第1発言者 酒井啓子さん(アジア経済研究所地域研究第2部主任研究員・岩波新書「イラクとアメリカ」著者) →発言要旨

第2発言者 新倉裕史さん(非核市民宣言運動ヨコスカ) →発言要旨

◎酒井啓子さんの発言要旨(文責:反平ア編集委)

(1)アメリカの現在の情勢
 なかなか希望的なことはいえない。アメリカは戦争を始めてしまいそうな感じがする。
 タリバーン政権の崩壊が思ったよりうまくいったため好戦ムードになっている。
 現在、アメリカが考えている対イラク政策は次の3つ。(1)アフガン・モデル=国内の反体制派の軍事活動を支援しつつ米軍が地空で協力(2)第二の「湾岸戦争」=米軍の前面関与、20万人前後の兵力投入(3)クーデターあるいはフセイン暗殺計画。これらのうち、それぞれにアメリカにとってのメリット・デメリットがあるが、現在、決してメリットが大きくないはずの(2)が主流の意見になりつつある。
  これに対し、「そこまでやんなくちゃいけないのか」という声が議会からも出てきているが、全体としては戦争・攻撃へのムードはむしろ高くなっていることもいえる。
 もはやアメリカは「フセイン政権の打倒」を目的としており、「大量破壊兵器」には争点はなく、ただの口実に過ぎない。実際、7月まではアルカイダとのつながりの証明にやっきとなっていたが、国連査察委員長のバトラー氏が「フセインがアルカイダに援助することはあり得ない」と述べたため、この意見を引っ込め、現在は「大量破壊兵器」を問題にし出しているだけである。現在言い出している「武装査察」も、これを拒否させて攻撃を正当化するため、わざと飲めない要求を出しているに過ぎない。

(2)査察問題
 現在、焦点の1つである査察問題だが、私の感想としては、イラクは残念ながら大量破壊兵器を持っている疑いが確かにある。そして査察は「湾岸戦争」の停戦合意に含まれているため、これを拒否することはイラクにはできない。
 しかしイラクが査察を嫌がっている理由は、この査察がきわめて不公正な状態で行われていることにもある。「査察団」とは名ばかりの、元CIAや海兵隊の上級将校などが加わったいわば「スパイ集団」が、スパイ活動そのものを行ってきたという事実もある。
 現在「査察団」が探しているのは、実は兵器そのものではない。兵器の製造などに関する「書類」を探している。これは「どこまで開発が進められているのかを探る」という名目で始まった。実際、フセイン大統領の娘婿が亡命し「鳥小屋の中に生物化学兵器の書類がある」と証言し、確かに鳥小屋から書類が発見された。ここから「書類探し」が、ほとんどストーカーさながらに行われるようになった。
  イラクはこれに対し 「限度をつけてくれ」と要求している。宮殿や政権幹部の別荘、自宅まで書類をひっくり返されまくるのはさすがにたまらないし、何よりも、武器以外の情報をすべて丸裸にされてしまうことを嫌がっている。
 現在、査察は4年にわたって止まっているが、これは「イラクが拒否し続けているから」ではない。もともとは、98年12月にアメリカによる空爆が行われ、国連側にこそ「どのみちアメリカが空爆するのに、自分たちは何をやっているんだ」と諦めムードが広がっているためである。

(3)「大量破壊兵器」
 ブレアが出した「証拠」は、「ミサイル20機くらい」「核兵器が数年以内に出るでしょう」という程度の内容で、きわめて政治的な報告である。
 フセイン政権は、クルド人には確かに許されない化学兵器を使った。しかしこれは、米英が言うところの「国外に対しての脅威」とはならない。
 フセイン政権が所有していたミサイルは、「湾岸戦争」前は100機以上あったが、停戦後、90機は破壊されている。もし今、40機あるとしたら、「湾岸戦争」開始時には130機所有していたことになるが、それならば、イラクには「所有量の1割しか飛ばす技術がない」ということになり、現在所有しているミサイルが「国外に対しての脅威」にはならない。
 密輸入も無理である。保険法人のロイズが海上臨検をやっていて、部品すら通過することは困難である。元海兵隊員も回想録で「イラクは大量破壊兵器は所持していない」と明言している。
 そもそも、CIAは中東のことをほとんど知らないのではないか。現在のアメリカでは、中東の専門家が発言の機会を奪われていて、客観的な中東情勢の分析がまったくできない状態になっている。

(4)ブッシュ政権の、そしてアメリカの「空気」
 「9.11」後、アメリカは「羹に懲りて膾を吹く」状態になっている。
 もともとアメリカの対外政策は、「アメリカ型の民主主義の押し付け」という「理想主義」的側面と、一方での「アメリカの国益に適うならば相手が何であってもいい」という現実主義的側面とが、矛盾しながらせめぎあう中で出されてきた。それが、9・11で一体化した。
  イラクは現在、「現実主義」に訴えることでなんとか攻撃を回避しようとしている。しかしもはやこれは無意味だろう。ブッシュは、国内世論の8割が反対したとしても攻撃するつもりだ。
 よく考えれば、フセイン政権をそんなに簡単に倒せるか、という問題がある。フセインの死亡もきちんと確認しなければ、「フセイン後」に行くことができない。サウジアラビアにある利権も失う可能性がある。しかし、それらをすべて振り切ってでもイラクを攻撃する、という意見すら政権内では出ている。

(5)イラクの国内情勢
 単一政権党であるバース党に入党している多くの人は、それが生活上の「利権になるから加盟しているに過ぎない。たとえば、自動車教習所には党員専用窓口があり、早く手続きができた上で入学金が10分の1になる。そんな多くの民衆にとって、現在の米英による主張は、「どこまでが打倒対象なのか? フセイン政権だけなのか、バース党員はみな責任追及されるのか?」という不安をかきたてられる。
 また、多くの民衆には家財道具を放ってまで戦火を逃れ疎開することは、経済的にもできない。そんな中で、フセイン政権を倒そう、という動きが、実際に国内に住む民衆からどこまで出てくるのかは疑問だ。
 そもそも、新政権をどうする? という話はぜんぜん進んでいない。もし傀儡政権を作っても、イラクの周辺国はどうなるか。かえって大量破壊兵器開発競争になってしまうかも知れない。
 たとえばサウジはどうか。これまでは、石油があってアメリカの言うこと聞くから、というだけで、アメリカはサウジと「仲良く」してきた。もともとサウジ社会は反米色が強い。そんな中、もしイラクに親米政権ができたら、サウジはどうアメリカに「処遇」されるのか?
 また、イラク人はトルコも怖がっている。日本の外務省の役人が「これからの中東は見ていたくないね」とこぼしていた。

(6)会場からの質問に答える形で
 (アメリカの真の狙いは何か?)これは政権内部の人・派閥によってまったく違う。その派閥も流動的になっている。
 パウエルは、はっきり「現実主義者」だといえるが、他の人びとは何を考えてるのか正直わからない。国防省の背広組がもっとも「理想主義」者で、アメリカの利権一般を捨ててでも、という意識が強い。
 よく「イラクを押さえれば石油利権が」という話がある。そういう側面は無論あるが、しかし、それだけなら、現政権と適当につきあっていた方がコストは安い。現在の対イラク政策は、利権だけでは説明ができない。
 英以外のヨーロッパ諸国がイラク攻撃に批判的なのは、これらの国がすでに植民地支配を経験していて、支配コストが利権コストを上回ることを身に染みてわかっている。
 (イスラエルの関与について) アメリカやイスラエルが「イラ・イラ戦争」でイラクを増強させた。またABCやNYタイムズはユダヤロビーの影響下にある。しかしアメリカは「なんでもかんでもユダヤ支配」というわけではない。
  例えば「湾岸戦争」時でも、ブッシュ父はイスラエルにはフセインの発言を引いてまで自制をかけていた。パレスチナ問題とイラク問題は直接関係がないんだ、というタテマエは保持してはいた。
 しかし今回はそれすらない。なにもない。パレスチナへの配慮もイスラエルへの圧力もない。読んだ本の内容が翌日の演説に登場するようなブッシュは、何も考えていないのではないか。そこに、イスラエルが関与・便乗してくる余地がいくらでもある。

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◎新倉裕史さんの発言要旨(文責:反平ア編集委)

(1)自治体への取り組みを強めよう
 前国会での有事法制閣議決定後、10日で出したパンフが6000部出た。有事法制への関心が出てきている。とりわけ、自治体労働者や地方での反応がある。
 自治体、および自治体労働者への働きかけを、有事法制を止めるための1つの軸にすることができる。
 99年の周辺事態法のときも、自治体がさまざまながんばりを見せた。この法律を個別法の枠内に留めさせたのは自治体の取り組みがあったからこそ。
 当時、多くの自治体が、周辺事態法に自治体への強制力はあるか、応じなかったときに制裁があるのか、という質問を政府に対して行った。これに対し、政府は当初回答を拒否していたが、ねばり強い取り組みの結果、「強制力・制裁はない」との回答を引き出した。
 これに対し、「そんなのはどうせ国の空手形じゃないか」という批判が、とりわけ、「原則的な主張をする人びと」から出されている。確かにそうかも知れない。しかしこれは、私たちの運動にとって大きな「材料」になる。
 「政府はこんなひどいことをしてくる」という訴えは必要だ。しかし、それを強調するあまり、私たちの側が政府に対し「何もできない」とつい前提にしがちになってしまう。しかしそうでなく、政府の大きさを「小さく捉えて」闘う、これこそが求められている。
 某政党の機関紙には、「周辺事態法9条でこんなことができてしまう」と、条文のネガティヴな部分を強調した論調が出ている。この論調は確かに必要だ。しかし我々は、「周辺事態法9条では、たったこれだけのことしかできない」ということを協調したい。
 政府は、「条例を制定して、自治体が協力拒否をすることは可能か?」という自治体からの質問に対し「可能である」と答弁せざるを得なかった。自治体からの質問攻めの有効性が明らかとなった。そして、この答弁をもとに、北海道では、戦争目的に自治体管理の施設を使わせない、という条例を作る取り組みも行われている。
 「個別のケースは個別法の枠内で判断する」「自治体も大きな権限を持つ」この2つを政府に守らせること、そのために自治体を動かし国を突き上げさせること、これらが重要である。

(2)有事法制と自治体
 有事法制について、マスコミが首長へのアンケートを実施している。しかし「賛成か反対か」というくくりかたを相変わらずしている。しかし、有事法制については、「賛成か反対か」という色分けには意味がない。その理由、中身をこそ見るべき。
 例えば藤田広島県知事は、有事法制に「理解を示し」つつ、「米艦隊に非核証明を求める」と言っている。しかしそもそも、後者の意見は、「有事」に際し、政府の有事法制案が施行されればまったく意味をなさなくなるのである。だからこの発言はむしろ「有事の際も港湾管理権を手放さない」という、事実上の「有事法制拒否宣言」とすらいえるのである。
 「地方自治は憲法で保障されている」。このことが闘いのキーポイントになる。これがある限り、包括的に地方の権利を取り上げることは法律では不可能なのである。
 我々は、政府が、そして自治体が、「やりたいこと」「やろうとしていること」「やっていること」これらの違いをもっともっと読み込まねばならない。ともすると、市民運動は「やりたいこと」を読むことに終わりがちとなる。そうではなく、「狙いが本当に実現できるのかどうか」を読み取り、そこから闘いを組み立てるべきではないか。

(3)ヨコスカでの取り組みから見える、有事法制の狙い
 この間、「ヨコスカ平和船団」は、のべ11隻の米艦隊に対し、のべ24隻のゴムボートで抗議を行ってきた。ゴムボートとは実に弱いが、この「弱い」ということはとても大事なことである。
 ちなみに、抗議行動の場合は「行事申請」というものを海上保安庁に対して申請する。抗議行動でない場合は申請すら不要である。これは戦後、港湾が自治体管理になったからである。
  現在の国の狙いは、「強制的に市民を戦争に協力させる」ことにあるのではない。「自ら戦争に協力してくれる市民を増やす」ことにある。
 そしてこのことは現在、既にマスコミを侵食している。例えば、9.11後、ヨコスカに入稿してくる米艦隊の写真は、どの新聞社でも同じアングルから撮られている。つまり「代表撮影」なのだが、これは「危険だから自社ヘリを飛ばさないでくれ」との国からの*要請*に対し、マスコミ各社が「はいわかりました」とこれを受け入れているからである。
 このとき、平和船団は堂々と抗議行動を申請して、きちんと許可されている。マスコミもがんばれば、独自取材はできたはずだ。しかしそれをしない。
 こういう「自主的な協力」を、市民全体に対してさせることが、有事法制の大きな狙いになっている。だから罰則はないか厳しいものではない、ということになる。

(4)有事法制反対運動のために
 自治体の役割の1つに、「政府がまちがえると国全体がまちがえる。だから権限を分散する」という面がある。そしてこれを活用し、例えば大和市はNLPを中止に追い込んでいる。
 我々はこれまで、自衛隊に反対する、といいつつ、その自衛隊に所属している個々の自衛官に対しあまり何もしてこなかった。
 今回の有事法制は、自衛隊ができて以来はじめての「自衛官が戦死するためのシステムの法的整備」でもある。例えば、日常生活で死者が出た場合、遺体は自治体の許可をとって埋葬しなければならない。その許可をバイパスするという役目をまちがいなく有事法制は持っている。
 自衛官の人びとに対し、市民運動がこのようなことをどう訴え、また自衛官の人びとからの声に市民運動がどう応えられるのか。
 我々は「憲法9条が自衛官のいのちを守っているのだ」ということを、自衛官に訴えかけよう。「糾弾よりも対話を!」。平和運動の対話能力が今こそ求められているのである。

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